◆
萩原清 委員 確かに
部長級の人がまた職員で残るというと、やりにくい面も出てくるんじゃないかと思います。
警察委員会でもそんな話がありましたけれども、最終的に定年が65歳までになってくると、今度は部長の年齢も引き上がってくるということも出てきます。今は60歳が定年だから、大体五十七、八の人が部長になっていますが、その辺について、役職の年代はどんどん上げていくんですか。それとも、年齢に関係なく能力で役職にしていくのか、その辺どうですか。
◎
根橋幸夫 人事課長 今回の定年の引上げによりまして、
役職定年制が導入されます。したがいまして、60歳を超えますと、今回の改正の条例ですと
課長補佐級が最上位となります。現在、例えば今五十七、八で部長になっているとございましたけれども、基本的には60歳以下の方が、その
人物重視で部長になっていくという形が考えられます。
◆
萩原清 委員 65歳
定年制になりますと、県としての考え方、
部長級のある程度の年齢は今と同じような形でいくのか、部長どうですか。
◎
玉井直 総務部長 今、課長が申し上げたとおり、基本的な役職の年齢といいますか、どのくらいの年齢・経験で
課長級、
部長級になるということについて、現時点の方向性は変わらないということで、変える状況はないと思います。60歳になって、
部長級、
課長級であれば、この条例、法律では補佐級以下に任用を落としていくということなので、基本的な昇任の年齢とか経験については、65歳に上がるからそれを延ばしていくということではありません。ただ一方で、今50歳代が大変多い状況の中で、若手に責任を持った対応を早めに経験を積ませたいということがありますので、
早期登用といいますか、責任を持った職に就けていくということは考えていって対応していきたいと思っております。
◆
萩原清 委員 それやっていくと、人件費がかなり上がってしまうと思うんです。65歳まで勤められる中で、今の役職をある程度切っておかないと、60歳近くなれば一番給料が上がってきますよね。そうなってくると、人件費がかなり膨大になってきて、その辺はよく考えていかないと大変なことになるのではないかと思いますので、今の段階では大体65歳まで勤められるけれども、
一般企業でも今はそうですよね。
現状退職を急いで再任用という形で、企業が取っているのと同じパターンで公務員もいくということでよろしいんですか。
◎
玉井直 総務部長 基本的な考え方につきましては、委員御指摘のとおりでございますが、一番大事なことは、60歳を超えた職員が7割程度の給料になるわけですけれども、そういった職員をいかに組織の中で活用していくのか、できるだけモチベーションを持っていただきながら対応していくことが一番大事かと思いますので、全体を見ながら、しっかりと運用について検討していきたいと考えております。
◆
萩原清 委員 皆さんがその対象になるんですから、よく考えて、自分のことだけ考えないでやってもらいたいということだけお願いしておきます。
それから、今、
新聞報道でもいろいろ出ておりますけれども、長野県における銀行の統合という問題は人ごとではなく、ある面でいけば非常に衝撃的な
ニュースではなかったかなと思います。
長野銀行は本店が松本にあるということもございまして、割かし前からどこかと吸収合併するなどという話はあったんですけれども、結果的に
八十二銀行と一体となったということになりますと、若干いい面と悪い面が出ると思います。情報はいろいろありますけれども、県として、経営のことまではいいんですが、この辺のことについて、
会計局長になるのか、部長になるのかよく分からないけれども、どうですか。
◎
玉井直 総務部長 私のほうからお答えさせていただきますが、
八十二銀行と
長野銀行、まず本県の発展にこれまで非常に御貢献いただいたと認識しております。その上で、正直私もびっくりした
ニュースではございまして、
様々影響が全く出ないということはないだろうと思いますが、私どもの見解と言われると、今回の
経営統合は両行のノウハウや人材を統合することで、お客様や地域の皆様によりよい価値を提供することを目的としていると言っておりますので、
経営基盤が一層強化されて、様々な金融
サービスが向上されるということで、これまで以上に
県内経済発展に寄与・貢献されればいいなということを願っているという状況でございます。
◆
萩原清 委員 我々の今までの感覚でいうと、
八十二銀行はある程度大きな企業を対象にしていて、
長野銀行は
中小企業ということで、
八十二銀行ではなかなか審査が厳しくて融資してもらえないから、
長野銀行に行ったら出してくれたという傾向があったんです。それでも駄目な場合は信金に行くということが若干ありましたけれども、その辺のところが一番経営者は心配しているところではないかと思うんです。ただ、統合したから、何とか前と同じようにしろなんて、県から言えるわけでもないんですけれども、いずれにしても、これだけ厳しい状況が経済界に起きているというのが現状ではないかと思います。今、銀行に行っても職員がほとんどいないんですよね。確かに厳しい業種になっているのかなという感じはしますけれども、いずれにしても、県としてもその辺が人ごとでなく、今のような
定年制の延長の問題も、全部経済と関連していると思うんです。ですから、その辺のところはしっかりと注視して、県民の声を聞きながら
県政運営をしていっていただきたいということをお願いします。
それから、
マイナンバーの問題について、
一般質問で
大分議員の皆さんからも出ておりましたけれども、
交付割合がある程度行かないと
交付金が削減されるというような話もありまして、もし今のままで行くと、長野県は
削減対象になると思うんですが、その辺はどうですか。
◎
滝沢裕之 市町村課長 マイナンバーカードの普及率の
交付金や
交付税の反映のお尋ねでございます。
委員御指摘のとおり、
交付税についても、総務省では交付率を反映させていくという発言がなされておりますし、また、
デジタル田園都市の
交付金についても、
交付金の採択の際に勘案するというようなことになってきております。全国の
マイナンバーカードの普及率が平均47.4%で、それに対しまして長野県は41.2%ということで、平均より低い状況でありますので、
一定程度の影響もあろうかと考えておりますが、少なくとも
交付税に関しましては、政策誘導的な意図でやるわけではないと
総務大臣が言っておりまして、あと、
デジタル需要が、
マイナンバーカードが普及することによって増してくるということで、
財政需要を的確に反映させるということから、必要な措置として
普通交付税も検討するということで承知しております。
◆
萩原清 委員 ちょっと考え方が甘くないですか。脅しのためにやっているなんて感覚では、この問題はそんな簡単に考えないほうがいいと思うよ。今、一番ペーパーレスの時代だとか、保険証の通知なんて、毎年送ってきたって意味がなく、そんなことを含めて、国でもいろいろ考えて
マイナンバーカードをやっているので、それがまだ確実にそんなことにならないみたいな安易な考え方では、私はそうはいかないと思うんです。これは
デジタル田園都市の
交付金だけじゃなくて、全体的な
交付金も影響があるのか、部長どうですか。
◎清水裕之
企画振興部長 現時点で
マイナンバーカードの普及率を反映させていくというのは、
市町村課長からありましたとおり、
交付税と
デジタル田園都市の
交付金の関係が今のところ検討していると、国からは示されているというところではございますけれども、国でも、これからのデジタル社会の基盤となるツールだということで、
マイナンバーカードを活用して効果的な住民
サービスにつながるものは、できる限りやっていくという形でかじを切っているというところです。例えば、ワクチンの接種証明書なども、
マイナンバーカードがあればスマホですぐに取れますし、確定申告もスマホでやれば添付書類もなくできる。あるいは、委員からもお話がありましたけれども保険証、あるいは将来的には免許証との一体化ということで、相当程度、
マイナンバーカードをあらゆる場面で活用していくという姿勢で普及に努めておりますので、県としても、きちんとその辺り、県民の皆様にとっても利便性向上につながるんだということで、しっかりメリットをアピールしていきたいと思いますし、また、マイナポイントということで、物価高騰という中で最大2万ポイントを取れるというのも、これもまた一つの大きなメリットにもなりますので、そういったことをしっかり伝えていきながら県内の
マイナンバーカードの普及率を引き上げていきたいと思っております。
◆
萩原清 委員 国のほうも、過去に住民なんとかカードを出して、あれだってかなりの金をつぎ込んでやったにもかかわらず、いつの間にかどこかへ行ってしまったんだよね。そんな意識が国民、県民の中にあります。私も持っていますけれども、メリットが感じられないというのが、一番普及しない理由だと思うんです。普及率の低い県についての
交付金は考えますよという中で、逆に言うと、長野県が
マイナンバーカードを取ると、若干こういうメリットがありますよという政策もある程度考えられないかなという感じもしますが、その辺は部長どうですか。
◎清水裕之
企画振興部長 マイナンバーカードの普及、交付事務自体をやっているのが市町村でございまして、県では、市町村のほうで様々な工夫をして取り組んでいる事例、商品券を市町村で配布している自治体もあれば、特に中山間地では希望される方に個別に御自宅を訪問していって、写真を撮って申請してあげるなど、きめ細かい対応も行われてきておりまして、そういった取組事例を県で共有しながら、今、市町村に様々な普及、取組を促進しながら、我々自身も、商業施設、イオンや長野駅などに臨時の出張申請の窓口を県としても設けて受け付けているというところでございます。今、国のほうで2万円分のマイナポイント事業の
マイナンバーカードの申請期限が12月末までに延長したというところでございますけれども、さらに県としても何か必要な取組がないかというところは常に頭に置いて普及に努めていきたいと思っております。
◆
萩原清 委員 2万円のポイントも、商品券でくれるわけではないんだよね。スマホでやるPayPayなどを持っていないと使えないということなので、この辺が、我々はそんなことできないので、ちょっと使い勝手悪いなという感じもするんですけれども、いずれにしても、市町村課のほうでは、
交付金の問題もあって、
マイナンバーカードの普及の検討はしたことがあるんですか。
◎
滝沢裕之 市町村課長 マイナンバーカードの普及に関しましては、先ほど部長から申し上げたとおり、デジタル社会の基盤ということで、一生懸命取り組まなきゃいけないこととして、今やっております。そういう中で、例えば岡谷市では、これも電子になってしまいますが、Okaya Payという独自のポイントを付与したり、また、松本市も現在予算審議中と聞いておりますけれども、ポイントを導入したり、それから、おっしゃるとおり、ポイントだとなかなか住民の方に響かないということから、商品券をダイレクトに紙で交付している例も相当ありまして、例えば、長野県内でいうと、南牧村は大分普及率が高いんですが、早い段階で商品券を配ったり、最近では、そういったものを先例として佐久穂町も商品券を配ろうとしたり、複数の市町村で、多いところでは7,500円、少ないところでは1,000円の商品券、そういったことで、少しお得感があって、お年寄りの方でも喜んでいただけるような取組が少しずつ浸透してきておりますので、そういった取組を我々のほうも国の補助金の活用等についてアドバイスをしておりまして、促進していきたいと考えております。
◆
萩原清 委員 2万円の中で独自に使えるという制度ではないわけですか。それは独自に村なり町でやらなければいけないのか。
◎
滝沢裕之 市町村課長 2万円は国の制度でございまして、2万円相当のマイナポイントということでありますので、これは直接には市町村を経由しないものであります。市町村がやっているものにつきましては、国の補助金をまた別途活用して、商品券や独自のポイントを付与する事業をそれぞれやっているところであります。
◆
萩原清 委員 いずれにしても、ある程度パーセンテージを上げていかないと、国も、何回も言っているけれども、いろいろ出したって、今まで何とかカードというのは成功した例がないんです。だから、かなり国のほうでも焦りながら、この制度については普及させるという強い決意があるようですので、ぜひその辺のところはそれに遅れないような対応を取ってもらいたいと思います。
今度はジェンダーの関係、パートナーシップ制度について、我が団で説明を受けたんですが、市町村はこの辺のところを理解しているのかどうかという質問が出ましたけれども、市町村課として把握しているところはありますか。
◎
滝沢裕之 市町村課長 パートナーシップ条例の関係について、県のほうで進めていくという話の中で、市町村の状況でございますが、大変申し訳ございません。市町村課のほうでそういった状況について把握は特にしておりません。
◆
萩原清 委員 市町村課の役割というのは、ある面でいけば、各部局にまたがる問題でも、市町村課がある程度音頭を取ってもらう部分があると思うんです。この辺も関係部局とも相談しながら、この条例をつくったって、住んでいるのは市町村なんです。しっかり市町村課の皆さんは、人ごとじゃなくてやっていかないと、うまく回っていかないと思います。賛否両論いっぱいありますので、よくその辺は音頭を取ってもらいながら、市町村との会話を検討してもらいたいと要望しておきます。
最後になりますけれども、しなの鉄道が新車両を入れたりしながら25年間、いろいろなことでやっております。100億円以上を債権放棄したこともありまして、またそんな形を取ることはなかなか難しいと思いますけれども、今後の見通しはどうですか。
◎
石坂公明 交通政策課長 しなの鉄道の経営の見通しについて御質問をいただきました。しなの鉄道は、平成9年10月、北陸新幹線高崎−長野間の開業に合わせて、全国初の並行在来線会社として旅客鉄道事業を開始したところでございます。今、委員からお話がありましたとおり、開業当初は赤字決算が続きまして、開業5年目の平成13年度には債務超過ということで、県も平成16年度に103億円の公的支援を行いまして、その後、減損会計を導入し、経営健全化を図った結果、平成17年度に開業後初めて黒字化ということになったところでございます。以降、観光列車「ろくもん」の運行や
軽井沢駅の駅ナカ開発などで収益確保の取組も進めながら、その後、14期連続黒字ということで来たわけですけれども、令和元年東日本台風災害、さらに今回コロナ禍によりまして、ここのところは3期連続で赤字決算ということになっております。
そんな中、昨年11月にコロナ禍を乗り切る経営改善策ということで、急激な収益悪化ですとか将来的な利用者の減少可能性を踏まえて、経営改善策を策定いたしまして、今取組を進めているところでございます。経営環境も非常に厳しい中でございますが、経営健全化に努めていただいておりますし、私どもも、沿線地域と一体となって、しなの鉄道の
経営基盤の安定化をしっかり支えていきたいと思っております。この経営改善策では、今後10年間で一応の収支は改善するということで、昨年11月にお示ししているところでございます。
◆
萩原清 委員 今のコロナの問題じゃないけれども、10年計画というのは、5か年計画もやっていますけれども、ハプニング的な要素というのはいろいろあるんですよね。特に運行の問題というのは、少し何かあると非常に大きな問題になってくるので、その辺のところも見据えながら、何とか運行中止になることがないように、しっかり取り組んでもらうようお願いしまして、私の質問を終わります。
○
丸山大輔 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。
●休憩時刻 午前11時33分
●再開時刻 午後1時30分
○
丸山大輔 委員長 再開を宣し、委員の
質疑等発言を許可した。
◆望月雄内 委員 それでは、順次質問をさせていただきます。午前中に萩原委員から、定年の段階的引上げについて質問がありまして、いろいろ分からせてもらったわけであります。その中で、当然聞いてもらえるかなと思っていたんですが、それがなかったので私のほうから追加的な質問ということでお願いします。この条例改正による
定年制の延長は、国家公務員に準じてということであります。ですから、長野県だけではなくて、全国都道府県全てがこれに準じるということだと聞いております。
そこで、県の受け止め方として、来年の4月から定年を延長していくということですけれども、導入による懸念、気がかりなこと、心配なことがあるとすればどういうことか、お答えいただけますか。
◎
根橋幸夫 人事課長 高齢層部門に対する懸念、それと若手職員に対する懸念、この2点があろうと思っております。
まず、
定年引上げによりますと、高齢層の方、先ほど申し上げましたとおり、給料水準が7割になりまして、かつ部
課長級の方については課長補佐に降任して御活躍をいただく形になりますので、そういった方が、やる気、やりがいを持って県の組織の中で活躍をいただけるような環境づくりが一番大きな重要な課題だろうと思っております。それにつきましては、研修もそうですし、それ以外にも、単純に課長補佐ということではなくて、例えば、その方が長い職員生活の中で培ってこられた専門性を生かした新たな職を設置いたしまして、配置をしていくような形で、そういったやる気、やりがいを喚起する体制を取っていきたいと思っております。
もう1点、若手の面からいたしますと、これも先ほど申し上げましたとおり、私どもの組織は、50代が非常に多いものですから、その方々が一気にいなくなると、若手職員を、課長補佐、部長と早く登用していかなければいけません。ですので、経験や知識の伝承といった部分で、若干の心配がございます。これは
定年引上げとは直接的には関係ないかもしれませんが、そういった部分について、若手職員に助言、アドバイスをしていただくような役として、今度残っていただく高齢層の方にお願いしたいというのと、若手職員には、先ほど部長からもお答え申し上げましたけれども、早いうちからマネジメントの経験を積んでいただくよう、
早期登用を進めるということが必要だろうと思っております。
◆望月雄内 委員 分かりました。若手のことについてはそういうことだろうと思いますが、高齢層は、自らの意思で選択し、ある意味では覚悟を持って臨むということだろうと思うので、テンションを下げずにやってくれるだろうと期待しております。ある意味では非常に歓迎している方々もおるんではないかと思います。今どき60歳で第一線を去るのはもったいないじゃないかと。私なんか、幾つだと思いますか。そういうことを思うと、長年の経験も必要だということじゃないかと言って自画自賛しているわけですけれども、そんなことで、懸念材料を払拭していただければありがたいかなと思います。
そこで、財政上の問題ですけれども、希望者を集うわけですから、予想外に少ないという場合もあるかもしれないし、見込みどおりだというふうになるかもしれない。それはやってみなければ分かりませんが、常識的に見て、どうしても予算規模は膨らむのではないかと感じるんです。5年という中で、県としてはどんな事態になるのか想定があるのかどうか。その辺の見通しは持っているんですか。
◎
根橋幸夫 人事課長 定年引上げによる試算でございますけれども、今、委員からもお話ししましたとおり、まだ条例制定の前でございますので、しっかりとしたアンケート等をしておりませんけれども、一定の条件の下で、65歳定年が完成します令和15年までを一応試算させていただいております。
警察職員、教育職員含めた形での試算でございますけれども、特に
知事部局等の職員については給料単価の高い50代の職員が多いものですから、そういった方々が辞めていくということと、教育につきましては、少子化によって教員が若干減っていくということもございまして、今後10年を見据えますと、それほど増減はなくて、若干漸減傾向というような形では試算をしておるところでございます。
◆望月雄内 委員 そうであれば私は心配しないんですけれども、もしそういう試算がないとすれば、やってみたら、あれっということにならないようにしてほしいわけで、私はそこが一番心配でした。これは国の方針で県がやるわけですけれども、予算がオーバーした場合に、国からの財政上の支援はあるんですかないんですか。
◎
高橋寿明 財政課長 今、定年延長に伴う国の財政措置ということですけれども、現段階で何をするということは特に出てきてはおりませんが、通常の
交付税を計算するときに、職員の給与単価を基にして計算していまして、その給与単価が上がれば上がった分だけ
交付税の算定の中に反映してきますので、そういった形で反映することになると思いますし、もし必要であれば、またそういったものを国へも要望していくことになろうかと思っております。
◆望月雄内 委員 よく分かりました。それでは、また違う角度でほかの人がやってくれると思いますので、この件についてはこの辺にしたいと思います。
次に、阿部県政が4期目のスタートを切りました。選挙の結果だけを見ると、大差の4選ということですよね。一般論として、大差がついたということは、4期目の阿部県政に対する県民の期待が大きいと取っていいんではないかと思います。そういう意味で、歓迎すべきことだなと私は感じております。それは阿部県政3期を見てきた一人としてそう思うということであります。
今後の
県政運営ですけれども、これは長野県じゃなくて、全国的なことですが、コロナ禍あるいはコロナ後の
県政運営、コロナ後はいつ頃から来るのか分からないですけれども、ウィズコロナというのはなかなか線引きが難しいのかなと思うのは、これも一般論、常識の範囲で考えていく必要があると思います。国はコロナ対策で、ありとあらゆる政策を打ち出しました。国民を救うという一点で、ありとあらゆる政策をやりました。今後落ち着いた段階の中で、何が起こってくるか分からない。要するに、反動的なものがあるんじゃないかと私は懸念するんです。そういうような中で、予期せぬことが起こり得るという前提で、心して今後
県政運営をしていくことが大事だろうと指摘をさせていただきたいと思います。
阿部知事のことでありますから、当然そんなことは分かって4期目をスタートし
ていると思いますが、あえて委員会の中で申し上げておきたいと思います。
そこで、4期目に向けて、知事はいろんな考えや思いを発信していました。公約というものもあったし、また、公約として掲げていないけれども思いも言った、そういうのを総合的に見ていて、私なりにその中で特に気に留めたことということが二つあります。一つは、
人口減少に対応したい、これを何とかいい方向に持っていきたいと。要するに、歯止めをかけたい、できれば人口増にしていきたいということだと思います。それからもう1点、4期というと長期政権になるんだと。3期の経験を踏まえて、組織の硬直化あるいは人事の硬直化について、非常に気を留められておったという印象です。私は、さすがだなと思ったんですけれども、硬直化というので、硬直ってどういうことかなと思って辞書を引いてみたら、筋肉が硬くなると書いてあったんですが、なるほど県の組織を筋肉に例えれば、これが硬直すればどういうことになるかと。私は、組織で一番大事なことは、県民の多様なニーズ、多様な物の考え方とか思いをしっかり受け止めていく、そういう組織を目指すべきであろうと思っています。そういう意味で、組織の現状に対してどういう認識を持っているか御質問します。よろしくお願いします。
◎村井昌久
コンプライアンス・行政経営課長 組織風土の面に関しての御質問と受け止めさせていただきました。
知事と職員の関係では、知事自身が自分の言っていることが唯一絶対ではないと発言されています。また、知事としては、施策の方向性は各部局と共有するけれども、細かな点は任せたいというお考えを持っておりますので、先ほど硬直化というお話ありましたけれども、現在の県組織、硬直化しているという状況にはないと考えているところです。
◆望月雄内 委員 それであってほしいし、そういうことであれば安心しているわけでありますが、長野県だけじゃなくて、これは国も、市町村もそうだと思うんだけれども、やっぱり人事権や予算権が一人に委ねられるという中で、長期政権というものでは、えてして偏った人事に陥ることがあるし、よく新聞にお友達人事というようなことも言われるぐらいで、そういうことで職員のモチベーションが落ちるということは、県としてこんな不利益なことはないわけです。そういう意味で、長期政権から来るおごりであるとか、偏りであるとか、あるいは変な派閥ができるとか、そういうことのないような、職員のモチベーションが落ちない組織づくりをぜひ今後も維持していただきたいと思います。これは要望ですが、その辺について決意を
総務部長からお願いします。
◎
玉井直 総務部長 知事4期目当選以降の姿を見ている中で私の思いを、受け止めということで御容赦いただければと思うんですが、今、委員御指摘のとおり、4期目になりますので、マンネリ化とか惰性で仕事はしないようにということを恐らく知事御自身の中で相当自覚をされているなと、はたから見てそういうことはしっかり思います。まさに今、委員おっしゃられた、県民の声をしっかり聞くというのが一番の基本なんだろうなと。その現れとして、全市町村に県民対話集会で行くということを、今月から始めますけれども、そういったところでしっかり声を聞いて施策に反映していくという、まさに現れの一つかなという思いでございます。
もう一つ、職員に対しても、県民起点でしっかり声を聞いてということを言っていますけれども、先ほど課長が申し上げたとおり、自分の言うことが絶対じゃないので、どんどん私に言ってくれということも言っていますし、実は職員との対話も何回もやっております。これからもやるように指示を受けているんですが、そういった中で、職員との対話も大事にしていきたいということで、職員の声にも耳を傾けるということもやっていますし、先日、組合の代表の方と懇談をしまして、ざっくばらんに
意見交換をして、問題点を共有して、一緒にやっていきましょうということをしたぐらい、実はいろんな意見を大事にという気持ちは重々あると私も感じておりますので、私どもも、硬直化にならないように知事と思いを共有しながら、しっかり肝に銘じて取り組んでまいりたいと思っています。
◆望月雄内 委員 よく分かりました。よろしくお願いします。先ほども言いましたように、組織の大事なことは、県民の声をちゃんと聞いて、そしてそれをちゃんと
事務局に届けることができる、そういう柔軟な組織を目指してもらいたいと思っております。
先ほど、これからの県政、これは全国的にそうですが、多難な運営を強いられることが起こるのではないかということを申し上げました。どういうことが具体的に起こってくるか私は分からないけれども、各部局でそういうことを念頭に置きながら目を光らせる、あるいは耳を傾ける、現場をよく見る、こういうことが大事だと思います。1点、新型コロナウイルスの感染拡大で収入が減った人たちに国が無利子で生活資金を貸し付けました。特例貸付金と書いてありましたが、この間、加藤厚生労働大臣が9月末をもって終了だということで、貸付制度が終わったんですね。この貸付制度の額を見たら、1兆4,000億を超える特例貸付金だと。これはリーマンショックのときに同じことをやったんです。あのときが700億ちょっとだったというから、2倍じゃなくて、20倍なんですね。これは無理もなく、約3年近い年月で、長期間の貸付けということだから、1兆4,000億になるのは当然かもしれない。そういうようなことで、大変な額が貸し付けられ、借りた人は返済をしなければいけないわけです。非常に助けられた人は多いと思いますが、今後、どう返済していくかということも含めて、大きな問題になるんではないかと思うんです。
県内でこの制度を使って借り入れた人はどのくらいいるのか、私は数は調べてありませんので、分かりません。今は円安、物価高の中にあって、電力の値上げもすごいです。以前に戻るには相当時間かかるんではないかと思うんです。早い人は来年辺りから返済が始まるかもしれないですが、果たして約束どおり返済できるのか、県民の中で心配が大分出てくるんじゃないかと思うんです。こういうことの実態をつかんでいるのかどうか知りませんけれども、これは相当な反動が出るんじゃないかと思うので、それに対する対策が必要だろうと思います。返せない人は自己破産するとか、そういう県民もたくさん出てくるんじゃないかと思うんですが、県としてどう考えますか。
◎
玉井直 総務部長 委員御指摘の生活困窮の特例貸付につきましては、これはコロナ禍で生活の維持が困難な世帯に緊急かつ一時的な支援ということで貸付けを実施してきたものでございまして、来年の1月から返済が始まると聞いております。なお生活が苦しくて、返済が非常に厳しいというような世帯への対応が必要なケースが出てくる可能性ももちろんございまして、これは全国的な問題となっておりまして、国の動向もしっかり把握したり取り組まなければならない課題だと思っております。貸付自体は健康福祉部になりますけれども、失業者の対策、就労対策は産業労働部でありますし、あと多重債務は県民文化部というような、いろんな部局に関連し、単にお金を返せればいいというだけよりも、継続的に今後どうやって生活できるかという全体的な視野で見なければいけないという意味では、県全体の施策として検討すべきことかと思いますので、
総務部としても、全体で取り組むべき課題だと認識させていただいた上で、全庁的な課題として連携、共有してまいりたいと考えております。
◆望月雄内 委員 これは、どういうことが起こるか分からないので、ぜひ今から対応の準備をしてもらいたいと思います。私は、まずは丁寧な聞き取りが必要ではないかと思います。返済の免除も見据えて対応していくことが大事で、制度に基づいて、ただ取り立ててればいいというものではないと思うんです。こういうことは長野県だけじゃなく、国とのタイアップの中で柔軟に対応していくということで、私どもも国へ声を上げていきたいと思っております。しっかりした対応をしてもらって、全国的に見て、長野県の対応が一つのモデルになるような対応策を目指して考えてもらいたいなと思っております。これは私のほうからのお願い、要望としておきます。
もう1点だけ、
人口減少でちょっと面白い記事を見たので取り上げておきたいと思うんですが、韓国と日本の違いということで、いわゆる出生率が、日本が大体1.3、韓国は0.8ということです。そして、韓国では全人口の半分がソウルに集中しております。そこだけが繁栄していて、あとは疲弊している。だから、今までもそうだけれども、今後もソウルに集中してくる。すると、若者が押し寄せることによって不動産も高くて買えないというようなことで、経済的なパニックが起こり得ることが予想されます。そういう中にあって、日本に目を向けてみると、日本もそういう傾向があるんですよね。やっぱり一極集中、東京に向かうということがある。あと、日本は幸運にも、東京だけでなく名古屋、大阪、福岡もあり、そういうことで多少分散しています。そういうことですから、一概に韓国と一緒ということはないわけですけれども、そういう状況の中で、地方での若者の集うまちづくりというものが非常に大事だということで、韓国ではそれが今問題になっているわけですが、日本もそういう状況になることは決して否定できないわけです。一極集中的な都会が日本には四つも五つもあるけれども、そこから出ても、また地元に戻れる、若者が回帰できる、集えるまちづくりが非常に必要だと感じておりまして、韓国と日本のそういう違いを見て、お気づきになった点をお伺いします。
◎清水裕之
企画振興部長 人口減少に関して、韓国と日本の違いということで、望月委員から今御紹介をいただきました。韓国のほうが出生率が低いというところは認識しておりましたが、ソウルに全人口の半分が集中するという、極端な一極集中が大きな原因だというところで、改めて認識させていただいたと思ったところでございます。日本の場合には、東京、大阪あるいは複数の拠点があるということでございますけれども、やはり一極集中は当然地方の過疎につながるですとか、あるいは都市部ほど、なかなか子育てがしにくいということで子供の数が少なくなるということに加えて、災害があったときに、一極集中している場所が大規模災害に見舞われたときに、国土の安全という観点からも、大変問題がある社会構造だと思いますので、そういう意味で、長野県としても、日本全国の中での東京一極集中を食い止めるという観点で、様々な県づくりに取り組んできているところでございます。知事も選挙の中でも、女性、若者から選ばれる県づくりを掲げておられまして、これから重点的に取り組んでいく施策の中でも、仕事と子育てが両立しやすい環境づくりや子育ての経済的負担の軽減、若者が働きたいという職場づくり、あるいは移住施策に取り組んでいくということで、韓国の事例ございましたけれども、一極集中をとにかく食い止めていくことが、日本社会全体の持続的な発展に必要という観点で、長野県としてもしっかり若者から選ばれる県づくりに取り組んでいきたいと考えております。
◆望月雄内 委員 極端な例を出しましたけれども、それは人口5,200万ほどの韓国の半分がソウルだと。どういうことが起こるかというと、若者がソウルに行きたいということで、結局子供は持てないとか、そういうことの悪循環で0.81なんていう出生率になってしまっています。このままいけば、韓国は壊滅してしまいます。防衛費を幾ら盛ったって、軍隊が集まらない。徴兵しても若者が集まらない、だから日本も都会志向があって、どうしても一極集中で、東京、大阪とあるけれども、一度出ても帰れる、そういう県土づくり、地域づくりを目指すべきだと思います。そういう県土づくりを各県が競争してやらなきゃいけない。特に長野県は東京、名古屋に近いということで、空洞化しないように、釈迦に説法みたいな話ですけれども、ぜひ取組をよろしくお願いしたいということで、要望して終わります。
◆本郷一彦 委員 現在、我々日本を取り巻く環境は、歴史的にも極めて大きな変化の中にいると言っても過言ではないと思われます。世界を一変させた新型コロナウイルスの感染症は、最近では新規感染者や病床使用率は低減しているものの、依然として陽性者が発生している状況であります。また、力による一方的な現状変更という、国際秩序の根幹を揺るがすロシアのウクライナ侵略は、民主主義、自由主義への挑戦であり、断じて許していいものではありません。ウクライナ侵略によって、世界的に食料やエネルギーの供給が不足する事態になっております。こうした世界的な状況を背景として、日本においても原油価格、原材料の高騰、急速に進んだ円安によるコストの増大と、県民生活への大きな影響が出ております。
さらに、中長期的には、日本の国際競争力、経済的な豊かさが低下しつつあります。失われた30年と言われているように、30年前と現在を比較いたしますと、日本のGDPの世界シェアは、1991年で約16%を占めておりましたが、2021年には約5%まで減っています。1人当たりGDPの世界順位は4位から28位へ後退しています。また、先進国の1人当たり実質賃金の推移は、1991年から2019年にかけて、英国は1.48倍、米国は1.41倍、フランスとドイツは1.34倍に上昇しているのに対して、日本は1.05倍にとどまっている状況下であります。一方、国民の生活を支える国家財政は、コロナ禍の長期化などにより、2022年度予算が当初予算としては過去最高の107.6兆円と100兆円を超えている現状であります。このような世界情勢の急激な変化の中で、県財政の現況や今後の見通しについて
財政課長にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
◎
高橋寿明 財政課長 長野県の財政状況と今後の見通しということでお尋ねがございました。
今、国の予算のお話もございましたが、本県の当初予算額も、ここ数年、1兆円を超える規模となっておりまして、令和4年度当初予算も過去最大の規模ということで編成をいたしたところでございます。ただ、これは主には新型コロナ対策が主な要因となってございまして、この財源につきましては、国からの新型コロナ関係の
交付金を最大限活用して、県財政に与える影響を最小限にとどめるように努めているところでありまして、さきの委員会でも御説明いたしましたが、健全化判断比率につきましては、令和3年度決算につきましては昨年度よりも改善はしておりまして、財政の健全性は
一定程度保たれていると考えているところでございます。
しかしながら、当初予算での基金の取崩しが123億円という見込みとなっておりますし、これから社会保障関係経費も増加していきます。あと国土強靱化5か年加速化対策の関係で県債残高の増高も見込まれているところでありまして、依然として今後も厳しい財政状況は続くと見通しを立てているところでございます。さらに、価格高騰、物価高騰の影響もございまして、これから歳出増加につながる要因も数多くあると思っております。今後はこういった状況や国の財政措置も見極めながら、気を引き締めて財政運営を行っていきたいと考えているところでございます。
また、価格高騰、コロナ対策につきましては、こういった厳しい状況でありますが、喫緊の課題については補正予算編成なども行いながら、しっかり対応していきたいと考えているところでございます。
◆本郷一彦 委員 大変正確な認識をいただいていると理解をいたしました。いずれにいたしましても、今日の状況は戦後70年間の中において、いろんなことがございましたが、コロナの問題、そしてまたウクライナの問題等は、全く空虚な問題というよりも、歴史的に大きな節目にあるわけでございますので、政治行政はある意味では財政出動をいかにするかということで、財政健全化も視野に入れながらも、しかし必要なところには手を打っていくということでございますので、何分よろしく御配慮のほうをお願い申し上げます。
岸田首相は、臨時国会の所信表明演説において、日本経済の再生を最優先に、新しい資本主義の旗印の下、物価高、円安対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革を三つの重点分野に取り組むとし、今月中に総合経済対策を取りまとめる方針を示しました。物価高、円安対応として、家計、企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する対策や、対日外国人旅行消費額の年間5兆円超の達成を掲げるとともに、蓄電池等の工場立地、企業の国内回帰、農林水産物の輸出拡大に取り組むとしております。構造的な賃上げとしては、賃上げを生む機能が動いていないという構造的な問題を指摘し、学び直しを重視し、企業間、産業間の労働移動円滑化へ来年6月までに指針をまとめる意向を示しています。また、成長のための投資と改革として、AI、バイオなどの分野で投資を進める方策を早急に具体化し、スタートアップする企業を10倍に増すことを視野に、5か年計画の策定やエネルギー対策にも取り組むことを表明しております。
将来に向け、健全な財政運営を図ることは当然ですが、先ほど申し上げたとおり、長野県を取り巻く環境は大きく変化していく中、こうした国の動きに合わせて県においても県内経済活性化など、現状の閉塞感を打破するために積極的な予算編成をすることが必要だと考えていますが、
総務部長の御見解をお聞きしたいと思います。
◎
玉井直 総務部長 今のコロナ禍から続く、エネルギー、物価高騰によりまして、県民の皆さんの暮らし、産業に非常に大きな影響を受けていると認識しているところでございます。私どもとしては、こういった価格高騰の影響を緩和するということ、未来志向の取組も含めて、両面からのアプローチということで、長野県価格高騰緊急対策の第1弾を6月に、それから第2弾を9月に策定しまして、これまで5月専決、6月補正で63億、今回の9月補正予算案でも77億円余ということで計上させていただいたところでございます。加えて、今回の補正予算案では、経年劣化が進んでいる土木のインフラの緊急的な修繕をするためということも含めて、県単で10億円余の増額も計上するなど、厳しい財政状況ではございますが、県として必要な対応を取ってきたというところでございます。
委員御指摘のとおり、国では10月末にまた総合経済対策を策定すると聞いておりますし、臨時国会でまた補正予算案を提出するということでございますので、私どもとすると、こうした国の経済対策をしっかり見極めて対応し、国の予算も積極的に活用しながら、切れ目なく、かつ少し先を見越した、ゼロカーボン、DXを含めて未来志向の取組も入れながら、適宜適切に対策を行って、県民生活、本県経済の早期回復と活性化に向けてしっかり対応していきたいと考えております。
◆本郷一彦 委員 ポストコロナ、ポストウクライナに向けまして、中長期的な視点でのプランニングを今
総務部長にお答えいただきました。ぜひそうしたものについて中長期的な視点に立って財政出動をよろしくお願い申し上げます。
我が国を取り巻く環境変化や
人口減少などの難局が同時かつ複合的に押し寄せている中、地方が主体的に取組を進めることの重要性が、より増していると考えます。8月下旬に委員会現地視察で市町村を視察した折、特に重要だと感じたDX推進と移住についてお伺いをいたします。
政府は、今年6月、デジタル技術を活用することで、地方が抱える諸問題を解決することを目指す、
デジタル田園都市国家構想基本方針を閣議決定し、デジタルに関する投資を大幅に増加させると発表しました。デジタル化による時間や距離の制約をなくすなどの様々なメリットを生かし、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことが本構想の骨子であり、これにより地方の産業にチャンスが生まれ、住民の生活の利便性が向上することを期待されます。
委員会現地調査で伊那市役所を視察しましたが、そこでは、伊那市にあるドローンを使った中山間地域への宅配
サービスや、通信インフラを搭載したバス車両によるモバイル市役所といった、デジタル技術を活用した数々の取組を拝見いたしました。このように、現在それぞれの自治体がそれぞれの先端技術の活用に取り組んでいるところですが、県全体のデジタル化の底上げを図りDXを実現するためには、これらの取組を県内で共有するとともに、意欲のある市町村が後に続くことができる体制を整えることが必要であると考えます。そこで、県として、このような先駆的な取組をどのように県全体のDXに結びつけていくか、お考えをお伺いいたします。
◎
永野喜代彦 DX推進課長 お答え申し上げます。県全体のDXを進めていくに当たっては、市町村と一緒になって進めていくことが、御指摘いただいたとおり重要だと考えてございます。一方で、特に小規模な町村において、なかなか人がいないということで、十分な体制を構築できないというお声もお伺いしてございまして、そういった課題があると感じてございます。
そうした中で、県においては、一緒に学ぶ、あとは伸びているところはしっかり伸ばしていく、一緒に連携していく、そういう環境づくりをやっていくのが役割ではないかと考えております。現在、全77市町村から構成されます先端技術活用
推進協議会を設けてございます。これまで、テーマに応じて勉強会でありますとかワーキングの場を設けまして、コミュニケーションを取ってきているところでございます。例えば、行政分野で申し上げますと、自動の文字起こしツールを一緒に使う取組や電子決済システムの共同利用、県民生活分野で申し上げますと、今年の8月に県内全市町村と県によります共同電子図書館というものも、このワーキングを通じて、枠組みをつくって実践に至った全国初の試みということもございます。こうした取組を蓄積してきてございますので、引き続き、この協議会の枠組みをフル活用して、県内全体のDXにつなげてまいりたいと考えてございます。
◆本郷一彦 委員 ありがとうございます。日本をリードする長野県として、今それぞれ深い御認識がございましたけれども、ぜひ具体的に成果が上がるように一層の御努力をまずお願い申し上げます。
あと2点だけお伺いいたします。移住の問題でございますけれども、本県の人口は2001年222万人をピークに減少傾向になっており、総務省の今年の8月に公表した2022年1月1日時点の人口は206万人を下回っています。令和3年の1年間の
人口減少は1万5,000人を超えており、これは村や町の人口の一つから二つ分に相当するものであります。
人口減少により、ものづくり、医療、福祉、農林業など各産業を支える人材の不足により、地域経済への影響や地域の担い手不足による地域活力の低下が懸念されます。
そこでまず、
人口減少下にあって、移住者数の現状を県としてどう捉えているのかお伺いいたします。
◎伊藤博隆
信州暮らし推進課長 人口減少下にあっての移住者数の現状についてどのように捉えているかというお尋ねでございます。本県への移住者数につきましては、全国的に統一した定義がない中で、長野県では市町村の協力を得ながら独自に移住者数の集計をやっておりまして、今の集計方法を採用した平成27年度の移住者数は1,800名に満たなかったんですけれども、それが年々増加傾向にありまして、直近の令和3年度では2,960名といった数字になっております。この数字につきましては、前年度の令和2年度よりも500名以上増加しており、本県、統計取って以来最多となっております。
移住者数の内訳をざっと見てみますと、移住者数の世帯主の過半数が20代または30代の若者ということと、あとは東京、神奈川、千葉、埼玉県といった、いわゆる1都3県からの移住者数が、これまた半数以上といった状況になっておるところであります。このように
人口減少下にはあるわけですけれども、本県の移住者数は大都市圏からの若い世代を中心に増加傾向にあるといった状況になっていると認識しております。
◆本郷一彦 委員 ありがとうございます。マクロ的な視点では、今、日本の人口が1億2,000万を超えておりますが、一番悪いシナリオは8,000万人台まで落ちるだろうと言われております。大体9,000万人台が多い数字でございますけれども、いずれにいたしましても、
人口減少と経済成長あるいはその他の問題が複合的に絡んでおりますので、今、御発言されたことをぜひ具体的に実践できるように御努力をしていただきたいと思う次第でございます。
最後に、県市町村に目を向けると、多くの市町村で
人口減少に歯止めがかからない状況の中、南箕輪村では、移住者も暮らしやすい環境づくりに向けた取組を進めることで、人口が増加傾向となっております。新型コロナの影響で都市住民の地方移住への関心が高まっている今こそ、市町村や関係部局と連携して移住促進に取り組む絶好の機会であります。
そこで、こうした状況を踏まえ、移住に関する県の戦略、取組方向について、今大分お答えいただきましたけれども、再度
企画振興部長にお伺いいたします。
◎清水裕之
企画振興部長 移住の取組の方向性ということでございまして、今、
信州暮らし推進課長から説明がありましたとおり、首都圏の特に20代、30代の若者を中心に地方暮らしへの関心が高まっているという状況がございますし、また、先ほどの質疑でもありましたが、一極集中を止めていくという観点からも、社会増に向けて取り組んでいくということは、とても重要だと思っております。
そうした中、今年の3月に議員提案で少子化対策条例が策定されまして、少子化対策の観点でも、移住促進についてしっかり取り組むということが条例上でも明記されたということでございます。こうした状況を踏まえまして、今年の5月に信州暮らしの基本方針を改定いたしまして、若者と子育て世代を移住施策の重点ターゲットとして
位置づけていくということで、県、市町村、民間団体から構成する楽園信州
推進協議会中でも若者、子育て世代向けに重点を置いて取り組んでいくということを関係者間で確認したところでございます。若者が県内に住んでいただくに当たりましては働く場が重要で、暮らしと仕事をセットにしてPRしていくということで、移住フェア相談会ですとか、あるいはUIJターンをこれまで以上に強力に推進していきたいと考えてございますし、やはり本県の持つ豊かな自然を最大限活用していくということで、信州やまほいくなどの子育て環境ですとか、あるいはリゾートテレワーク、農ある暮らし、こういった信州長野県ならではの新たなライフスタイルを首都圏の若者向けに積極的に発信していきまして、若者、子育て世代から選ばれる長野県を目指していきたいと考えております。
◆向山公人 委員 私もちょっとお伺いしてまいります。何を聞こうかと思っていたんですが、たまたま今日お昼に、私どものリニアの伊那谷、木曽谷の県会議員でつくっている協議会で、飯田市のほうから来てリニアの駅周辺の計画等の話をお聞きいたしました。飯田市に駅ができますけれども、飯田市近辺だけの話ではなくて、長野県の駅なんだから、いかに長野県に波及するための計画を進めていくかという意味の中で、リニア中央新幹線が開通いたしますと、品川から40分、名古屋まで20分とい短時間で行き来ができるようになってまいりますが、実はそこから先の問題として、長野県内の移動に、長野と東京を2往復してかかる時間をもってしても、まだ目的地に着かないという非常に時間のロスが多いということがございまして、そういう意味で幾つかお伺いをしてまいります。
交通政策の中で公共交通協議会があると思いますが、その中で、どんな検討がされているのか、また、どんな方向に向かって取り組んでいくのかというようなことがあれば、まずお伺いさせていただきます。
◎
石坂公明 交通政策課長 ただいま向山委員から、公共交通活性化協議会で今どんな議論がされていて、どんな方向性で検討されているのかという御質問をいただきました。
まず長野県公共交通活性化協議会については、昨年、令和3年11月に立ち上げた協議会でございます。その前段として、長野県新総合交通ビジョンが平成25年3月に策定されておりまして、そのビジョンでは目指す将来像として三つ掲げております。まず一つ目として、確かな暮らしを支える地域交通の確保という部分と、二つ目として、交通の結節点、信州を快適につなぐ移動環境の形成、三つ目としまして、東日本と西日本、太平洋と日本海を結び、海外へと広がる本州中央部広域交流圏の構築といったものを、将来像として掲げております。こういった将来像を具体化するために、公共交通活性化協議会において、長野県地域公共交通計画の策定を今進めているところでございます。その中では、まず確かな暮らしを支えるという部分では、
人口減少が本格化し、さらにコロナ禍もあるという中で、地域交通、公共交通でどうやってそれを支えていくのかといった議論、さらに、今お話ありましたリニア、北陸新幹線の延伸といった部分もありまして、リニアの二次交通といったことについても議論の一つとされているところでございます。
◆向山公人 委員 昔、県で新交通ビジョンとして県内の計画をされたんですが、その時点で長野県内をできるだけ時間短縮をして行き来ができるような交通網を構築することが望ましいということがあったわけでありますけれども、具体的に進捗しているとは思えません。その後、北陸新幹線が開通し、今度はリニア中央新幹線が開通する、各都市と長野県が極端に短時間で結ばれます。今回の
次期総合5か年計画の中にも、長野県を取り巻く状況の中で、先ほどから出ている
人口減少の問題や、東京一極集中から地方分散への動きだとかいう現状が課題として出されておりますし、また、大都市からのアクセスのよさ、自然に富んだ豊かな
自然環境ということが長野県の特徴としてあるわけですが、こうしたものを生かすときに、せっかく外から短時間で長野県に来ても、長野県内で目的地に到達するのに大変時間がかかってしまうということは、長野県の魅力がなかなか伝わらない。移動時間に時間がかかるということは、せっかくお見えいただいた人たちも長野県でお金を落とさない。できるだけ早く目的地に行って、長い時間を過ごすということは、長野県内にお金を落とすことにもなって、長野県としては大変プラスになるわけで、そういうことの論議や課題が協議会の中で問われているのか、また、それに向かって検討されている現状なのかということをお聞きしたいと思います。
◎
石坂公明 交通政策課長 公共交通活性化協議会での県内での交通の利便性向上、またさらに新幹線、あとはリニア中央新幹線、そういった高速交通でお見えになった皆さんをいかに長野県内に広く、その整備効果を広げていくかといった御質問かと思います。
まさに公共交通活性化協議会では、先ほど申し上げましたように、生活交通の部分と、高速交通の部分、リニア新幹線ですとか北陸新幹線の延伸の整備効果をいかに長野県内に広げていくかといった部分もございますので、そういったことも我々の検討課題の一つということで今議論を進めているところでございます。
◆向山公人 委員 長野県、山梨県、神奈川県で東京の中央線の特急あずさを松本まで時間短縮をして2時間で走らせようという運動を、長野県も入って一緒になってやっておるわけでありますが、これもなかなか進捗しない。私どもの飯田線も、北陸新幹線と違って、飯田線は並行在来線ではなく、単独で飯田線を何とかしなきゃならぬという立場に置かれておりまして、協議会を市町村だけではなくて、民間も入れて飯田線活性化期成同盟会という組織に衣替えをして、今、飯田線をどうしようかという取組もしておるわけです。その延長線は、リニアが開通したときに二次交通として飯田線をどうやって長野県内で有効に生かしていくかということも大きなつながりになってくるわけです。こうして長野県内の公共交通網を短時間にすることは、先ほどから話が出ております長野県の人口増にも大きく貢献すると思いますし、観光においても、せっかく長野県へ来て、長野県のよさをあちこち見て歩くのに時間短縮が図られれば、長野県の魅力が倍増するだろうと思っておりまして、そういう意味で、私は何とかこのことを一歩でも二歩でも近づけて、現実にしていくべきだと思っております。「事は小なりといえども、為さざれば成らず」、どんな小さなことでも実行しなければ成就しないという言葉でありまして、検討するかしないかという問題よりも、現状は長野県もよく分かっているわけでありますから、ぜひそういった方向へ向けての取組を具体的にどうするかということをやってもらいたい。
今回の総合計画審議会でも、長野県が一つの大きな未来像をつくっていける可能性がある、意欲的な目指す姿や目標を設定してほしいということが書かれております。そういった意味で、こうした計画の中でも、長野県の現状を踏まえて、その目的を明確にして、具体的にどうしていくんだということについて取り組んでいくときだろうと思っております。今、時代が大きな変化を遂げようとしているときでありますから、北陸新幹線があり、そしてリニアの中央新幹線が開通しますと、長野県だって大きな変化が訪れます。これは好むと好まざるとにかかわらず、影響を受けることは間違いありません。その影響をプラスに生かして、長野県の発展につなげるとすれば、公共交通網の時間短縮が、大きなメリットになるだろうと思っています。ぜひそんな意味で、この取組を具体的に進めていただきたい。
企画振興部長の心構えとお考えをお伺いします。
◎清水裕之
企画振興部長 リニアに関してでございますけれども、リニアは本当に南信地域にとって悲願のプロジェクトだと思いますし、リニアが開通すれば本当に長野県への東京あるいは横浜からの人の流れがぐっと太くなるということで、人口増ですとか、あるいは企業の集積、観光振興といった様々な面で大変大きな可能性を秘めたプロジェクトであると認識しております。